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SEX PISTOLS


Never Mind the Bollocks Here's the Sex Pistols

The Sex Pistols / / Virgin



◆まず―
すこし遠回りして、漫画家・手塚治虫から考えてみよう☆
彼がやったことは結果としては、ディズニーの日本的パロディだと思う。ディズニーは現実をパロディにし、アニメ化させ、子供化させ、そうしてテクノロジーと接続させた20世紀の偉大なアメリカの芸術家の一人で、以外と評価されていないが、彼は世界のコドモ化とドラッギーな小文字化を先見的に預言している。そうして手塚はディズニーの後を引き継いで、ベッドタウン的なコドモ文化を日本に広めたやはり偉人の一人だろう。

◆英国の作家J・Gバラードは「世界の「テーマパーク化・ディズニーランド化」をインタビューや作中(「コカインナイト」や「スーパーカンヌ」)で指摘しているが、バラードによるとその最たる国は日本らしい。ついでにつけくわえておけば、作家・三島由紀夫はディズニーを賛美し、手塚は三島に憧れた。どうやら「ディズニー的シュミラルクル化」はなにも急に浮上したのではなくて、それ相応の下地があったようである。そしてそれはなにも日本に限ったことではない。世界はディズニー化し、小文字化して、より細やかな分節のなかの小グループ先導社会となってきている。世界的人口爆発とテクノロジーの普及による文化の小文字パロディ化、そしてなによりアニメ化。そんな社会がうみだす痛みのない幸福な家畜の群れ―つまり「すばらしき新世界」ってヤツだ。

◆―さて本題の「SEX PISTOLS」。
それでは彼らは何をやったのか、といえば、やはりこれもパロディだ。

―なにの?

―ソリッドに反抗するロックのパロディ。
―「ロックンロールスゥインドル」にみられるディズニーのパロディ。
―フェリー二や寺山的畸形の見世物小屋のパロディ。
あるいは―
―ヴィヴィアンウェストウッドのデストロイルック。西欧ファッショナブルで戦略的な破壊のパロディ。

◆解散してしまったPUNKバンド「東京SEX PISTOLS」の元ヴォーカリストで、現在は東京を代表するデザイナーの一人でもある「アンダーカヴァー」のジョニオがその模倣から入ったように、コムデギャルソンの川久保がデストロイルックを日本のワビサビと接続して描いて見せたように、そういったREMIX感覚の先駆けといってもいいようなものが彼らにはあるのではないだろうか?

◆ピストルズはどちらかといえば、glam的中性的で、ゲイちっく、よく企画されたパンクのエリートといった趣があって、アメリカ文化の再解釈としてのイギリスの都市という意味ではビートルズやストーンズに近い。結局イギリスの都市と日本の都市にインターナショナルレベルでのある共通項を探すならば、こういったアメリカ文化の再解釈にあることは間違いないだろう。映画にせよ、ロックにせよ、ファッションにせよ、なんにせよ―20世紀文化っていうのはアメリカそのものじゃないだろうか。

◆いいにつけ悪いにつけ、アメリカのパロディとしてしか成立しない現代文化―

それはある種の原理的なものや本文を括弧の中に閉じ込めた注釈であって、そこがこそポスト構造主義の哲学者ドゥルーズの言葉を借りれば、<脱領土>の「平滑空間」であり、と同時に江戸時代の学者本居宣長が明晰な眼差しで見たように<漢ごころ>に対立するものとしての<大和ごころ>、漢字の意味する<真名>(真の名)ではなくて、平仮名の<仮名>(仮の名)であり、わたしたち日本人とはすべてパロディでキッチュな仮象世界の幽霊であるのかもしれない。

◆夏目から三島、北野まで、現代日本文化がすべて括弧内でくくられる西欧のパロディとしての<脱領土>な「平滑空間」―幽霊的霊性国家日本☆

◆「24アワーパーティーピープル」はこのショックの波及効果のマンチェスター(当時の言葉でいえば「マッドチェスター(笑)」)としても見られると思う。
by tomozumi0032 | 2007-04-12 01:14 | 音楽評論
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