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徒然日々のこと―春の夜の宴―

◆mmm madre
Mis madreが、ハモンイベリコをしょって飛行機にのってやってきた。
どうも彼女はハムに見える。おいしいものをいっぱい知っていて、かなり食いしんぼうで、舌が肥えている。くるとガーガーとねて、夢の中をむにゃむにゃ彷徨い、起きるとぱくぱく食べている。スペインのアナーキストとボヘミアンの話をして、自分はアナーキストのボヘミアンよ!―と気勢をはく。もうずっと分っていたことで最近ますますよくわかったが、どうやら彼女はそんなような性質―なのであって、なにをいっても息子程度がいうことでは馬鹿にされてしまう。ま 人間は実は親の躾けである。よくよく独りの人間などはおらず、たいがいが親の気性や躾けの延長線上で、それに反発したり、従順だったり、あるいは愛人と愛の争奪戦を繰り広げたりするものだろうけれども、決してその呪縛からは離れられはしないよう―おそろしいことだが、結局親を見れば子の本質はわかってしまう。そしてその親の鏡にしか子はならない―蛙の子は蛙。世界が広がろうが、どこの国だろうが、けっきょく最後は子になってしまう。

みんな―だれかの子☆
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◆春の兆し
春の兆しがちらほら。
暖冬であたたかい冬だったけれども、春になるとどうにもぐ~すかぐ~すか眠りこけてしまう。えっと・・・こういうのはなんだっけ?「春眠暁を覚えず」っていうんだっけ―みのむしのようにうららかな眠りが夢へと誘うので、ついつい夢の中で生きちゃうのでR☆
まぁ 現実が夢でないか、というとそんなことはない。「胡蝶の夢」っていう中国の美しいお話があったけれども、現実は言葉の中の宇宙の読み込みによってできているよう。

ふぁぁぁぁい ぐ~すか・・・もごもご・・・

昔者、荘周夢為胡蝶。
栩栩然胡蝶也。
自喩適志与。
不知周也。
俄然覚、則遽遽然周也。
不知周之夢為胡蝶与、胡蝶之夢為周与。
周与胡蝶、則必有分矣。

参考文献:古典I漢文編 稲賀敬二 森野繁夫編 第一学習社
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◆寒い雨
三寒四温で、碁石の間に間のような寒い日。
雨に重低音が飛び跳ね、水銀の水たまりにキャンディネオンがにじむアスファルトのうえ―人工繊維の絹にめぐらされた幾何学パターン―いろとりどりのラベルで並ぶアルコールに濃密フェロモン吐息の蛍光ピンクの大気―ある夜、そんなところをうろうろしていたら風邪をひいてしまった。風邪には潜伏期間があるようで、しばらくは潜伏していたウィルスが突然―細胞群を襲い、おもわずばたんきゅ~。2日ほどうごけなくなる。熱がカッとあがって、血がぐつぐつと沸き立って、なにやら体躯が水菓子のようにぶよぶよとした熱の塊のようで気持ちが悪い。額のうえにヤカンをかければそれを沸かせてしまえそうな熱さにうんうんうなり、ちょっとした熱の上昇がこんなにも簡単に人間のからだの認識を変化させることにすこしだけ驚く。水分補給にVODKAをあおり、氷塊からしたたる熱に気つける。すっかり真っ赤な体ととび出す幻覚、あふれだす夢の渦巻き。それにしても―免疫細胞と菌の闘争の舞台としての肉体はほんとうにぼくのものか?ぼくはあくまで舞台にすぎないのかもしれず、実は細胞間の組み換えと生成作業との不断の闘争劇がこの人生の主役であるのかもしれない―と不可視のミクロレベルのなんらかの神経交感作業に思いを馳せた。
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◆夜闇に飛び交う翅虫
ふいに翅虫がやってきて、アルミニウムのディスクライトの下で湾曲線をえがき、離れては消え、また近づくといった反復運動をしている。背中の翅にめぐらされた毛細血管状の繊維の繊細さに消えてしまいそうな儚さの時を思った。折り畳まれた時間の短さを―

静謐な春の夜の宴―
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