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さようなら ギャングたち 

 
さようなら、ギャングたち


高橋 源一郎 / 講談社




アブストラクトかつイマジネイティブ、空白でノンリニアな架空のホワイトスペースを構成していて、歴史にも重力にも囚われずに浮遊した不可思議な実験言語世界を形成している。POPで表象的でロートレアモンやジョイスなどの今世紀初頭の試みを連想させるところもある。この空白のスペースに多様なところからコラージュ的に剽窃されたとおぼしき言語が連なる。

 この本にはなんだかとっても自由なものに触れたような軽快感があって、他の比較を欠いた固有の面白さのようなものがある。POPなんだけど実験的なこういった非構築の世界を構築するにはそうとうな力が必要なのではないだろうか。
 
 ある意味では「愛と幻想のファシズム」のパロディを思わせ、ハリウッド的かつディズニー的なイマジネーションが矢鱈めったらである。あまり構造化されていない脳のほうがこういうものは受け入れやすいだろう。
 
 個人的にはこれは「KILL BILL」辺りの先駆け、あるいは原宿に集う若者のパロディ感覚の延長線上にあると思う。
by tomozumi0032 | 2005-11-18 20:52 | 小説評論
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