カテゴリ:漫画評論( 3 )



総天然色AKIRA〈1〉 KCピース

大友 克洋 / 講談社

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◆個人的にいえば、日本の80年代に描かれた物語で最もカウンター性と強い表現性をかねそなえたものとして、この「AKIRA」と村上龍の「愛と幻想のファシズム」があげられるが、最初よんだときの衝撃として「AKIRA」は「愛と幻想―」を超えて衝撃的だった。映画的な画面割り、スピード感に浮遊感、暴走行為、血沸き肉踊るエネルギッシュな暴走族間の闘争、ドラッグ、超能力、ミヤコ婆の率いる宗教団体、MUNEOちゃまのような政治家「ねずみ」の裏活動、大佐の男気、鉄男と金田の相克や「機械」と「人間」の融合といった奥深い設定、なにより稠密をきわめ、線一本一本が躍動している都市描写と圧倒的な破壊のすさまじさ、そして深みのあるセリフたち、どれをとってみても、つよい衝撃を受けた。

◆そう びっくりした。手塚少年のぼくはこんな漫画はみたことがなかった。

◆その当時仲のよかった長髪ヒッピーパンクの友人は主人公の金田のバイクを模した改造バイクに乗って、轟音バンド活動を行っていたし、周囲のパンキーな友人は圧倒的にこの漫画の言語影響下にあって、一時バーテンをしていた吉祥寺のJUNKロックバーに大友が来たらしいのだが、タイミングわるく会うことが出来なかったのは残念。

◆いまでも、ついつい―不良少年を見ると、「を! 鉄男と金田じゃね~か!」と思い、COOLな暴走族を見ると旗をふって応援したくなり、ドラッグをつかって超能力をGETする鉄男は最高の青春イコンとなり、アメリカから独立した「大東京帝国創立」をひそかに願い、J・G バラードやウィリアムバロウズなど廃墟でジャンクなものを愛する感性はこの漫画の下じきがあったからかなぁ~と思う。サイバーパンク作家ウィリアム ギブスンや哲学者ドゥルーズへの関心もそうだと思う。

◆NICK PHILLIP率いるレイバーデザイングループ、アナーキック アジャスメントの鉄男TシャツはGETしていたし、それ着てRAVE通いもしたし、サンフランから東京にいたるコンピューターカルチャーの下位文化洗礼を受け、テクノロジカルに頭狂わせることのCOOLな陶酔は肌身を通じて知っていた。それでもこの漫画に吹っ飛ばされた頭の断片は、いまだ、回収の見込みがたっていない。あんま☆

◆つまりこう言えるだろう。ぼくの夢とは「諸現実における願望の実現というよりは、より直接的に鉄男となって街を吹っ飛ばす」そのことなのである、と☆

◆そのときこそ諸断片に破砕したぼくの頭の断片は丁度「美しい星」で三島がフルシチョフ体性下のUFOの中に取り戻された全体性を見出したように、全体性を取り戻すことが出来るような気がする。

◆外部テクノロジー(マシーン群)と内部テクノロジー(ドラッグ)と建築学の螺旋状の「進化構造」をヴィジュアルとしてこれほど強烈に表現しえたという意味で、おそらく比類ない漫画の金字塔を打ち立て、漫画史に燦然と輝くであろう名作。
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う~・・・わん!

わん!!

わんだふるっ☆
by tomozumi0032 | 2006-03-15 20:06 | 漫画評論
Valentina in Nadelstreifen.


Guido Crepax / Schreiber u. L., Mchn.


ファッショナブル!
「René Gruau」のクリスチャンディオールのイラストレーションを思わせるようなヨーロピアンPOPの後継であり、古くはシャネルとコクトーではないがこういうものにはすこぶる弱い。それに加えて70年代のPOPさがあって、「ロランバルトが愛したコミック界のポップなゴダール」なんて解説が着いてしまってはいかんともしがたい衝動の疼きを覚えてしまわないだろうか・・・ぼくだけ?・・・とはいえ一時期熱病のように「HIROMIX」が写真に取ったり、「ヒステリック グラマー」の値札になったりと渋谷がCREPAX化したときがあったのである。現在読み返してみてもどうにもあのときの街の感じが甦ってきてしまうのは仕方ないというもの。なによりデッサンがしっかりしていて、体の線が上手で、指や老人の皺、影、背景の効果模様やGペンのアールヌーボの無骨ともみえる強弱のアクセントにミラノの瀟洒な匂いを感じてしまう。蝶や鶏や蜘蛛が、あるいはスヌーピーが出てきたり、ファッションジャーナリストらしくカメラで「ZIQ!CLICK!」と写真を撮ったり、精神分析的夢世界に迷い込んだり、SM的な遊戯に嵌まり込んだり、と優雅で華やかな闇の世界の大海をPOPに彷徨ってみられるのがこの漫画の特徴かしらん。
なんか一時期のPRADAを思わせるんだけど、いかがでしょうか。
by tomozumi0032 | 2006-01-27 22:25 | 漫画評論

猫楠―南方熊楠の生涯


水木 しげる / 角川書店


熊楠と水木の遭遇!
霊界の先導者として2人の巨人の出会い、としての本である。
思えば小学生時代 図書館で鬼太郎を読みふけり、鬼太郎のいつも眠たげなドリーミーな感じ、目玉の親父の目玉のみで営まれる生、砂かけばばあのばばあっぷり、そして狡猾で手練手管に長け、卑劣な手を使っていつも鬼太郎を騙しながらもどこか憎めないねずみ男(殴るとビビビビっと音がでるのにも痛く感動した)それからあまたの妖怪群などに世界のひとすじなわではいかない深さを教えられたものだった。

熊楠は18ヶ国語が話せ、しかも猫語(!)まで習得し、さらには霊とも交流できた粘菌学の大天才。喧嘩っ早くて酒のみで性的な絶倫ぶりも含めてこの人こそ妖怪であったのではないか、と思わずにはいられない。

ともあれ水木先生の独特な調子に妙に調和しており、勿論誇張もあって、こうではなかったのかもしれないが、そういったものを秘めていたであろう人として楽しい。

最後に猫語是非学びたい・・・
にゃん
京極堂はいくら博学だとはいえできないだろう
にゃん
by tomozumi0032 | 2005-11-18 14:01 | 漫画評論
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