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神田川淫乱戦争

 黒澤清の初監督作品―と、いうこともあってアナログな素人感覚と低予算な感じが日常的の延長線上にあるように思った―と、いうよりこういった生活感覚を取るのが上手な監督だなぁとあらためて思った。
 ピンク映画だけれども、そういった色眼鏡を外してみれば、映画自体はとても楽しかった。
 音楽と状況のアンバランスさ、動きがどれも「舞い」に見えてしまうこと、SEX描写はそれほどでもないけれども、「オナニー」のシーンがよく、女の子(ピンク映画女優麻生うさぎ)がとてもチャーミングでかわいく、瑞々しく、映像が綺麗―「箸が転んでもおかしい」ような若さの明るさがあって、体を動かすことやSEXをすることや隣のマンションの母子相姦を「これはいかん いかんのだよ!」―ととめにいくところ、鼻をつかまれて追い出されて階段を転がり、「ずぁあああ!いてぇ~」―というところ、それからセックスの独白みたいな女の子の心情吐露がたのしい。アメリカの活劇やフランスの映画をよく見ていて、どこかゴダールやチャップリンを思わせる「映画」の洒落た引用があって、それが上手にまとまっていて、なによりほんとうに楽しく描かれているので、大笑いしながらも、不思議な浮遊感のようなものを味合わされる。

 黒澤は耳と眼がいい。
 音と舞いに場面が従属しているように見えてしまう。
 そして物語ではなく、音や舞いの違った因果律がその世界を支配してしまうとき、わたしたちはなんとも形容のしがたいような印象をうけるので、それをなんとか「シュール」という言葉におしこめているように思う。

 ガスだして、火をつけようとするシーンがいいと思いました☆
by tomozumi0032 | 2007-01-21 16:49 | 黒澤 清
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