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社会評論―其の十八―

☆「LOOOPY?鳩山総理」
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鳩山総理はむかぁ~し、昔、まだ新進党だったころ、なにかのエッセイで作家の曽根綾子さんがひどく辛口の批評をしていたのを覚えている。さすが曽根綾子だけあって、なかなか本質を鋭く突いていると思った。(もっともボクは彼女の石原慎太郎びいきもどうかとは思ったのだけれどもー)うろ覚えなのだけれども、軽薄で態度がころころ変わり、政治家としての資質に疑いをもったというような文章だった。紆余曲折あって、その男が日本の現在総理大臣になった。たしかに、今の日本の総理はちょっと「軽薄」で「浮世離れ」したところがあって、「変」だとは思う。もちろん、ボクは「変」好き(学者、文学者、SF作家、漫画家、音楽家、映画監督、芸術家を尊敬する一人)だし、「変人」総理もいたことだし、「変」なのはいいとしても、その「変」が、はたして現在の政治的情勢に適当なのだろうか?―と問うことはできるだろう。はたして、鳩山総理に、このせせこましくって、複雑で、箱庭のような、言葉と記号の先端で的確に未来をみちびく政治的判断ができるのだろうか?たしかにこの鳩山総理は常人ばなれした、テクノサイエンシストを思わせる不敵さと無表情さがある。なんだかよくわからないが、もしかしたら、わたしたち常人には理解することのかなわない複雑な宇宙の真理を読み解いているのではないか?―という不敵な笑みを時折こっそり浮かべているようだ。あの含んだような、はにかみともつかぬ、どちらかといえばポーカーフェイスな笑み。「ははは」というはひふへほ系の人間の笑いではなくって、「ふぉっふぉっふぉっ」というバルタン星人のような、微妙な笑い。

毀誉褒貶あるかもしれないが、現在の日本国の総理はたしかに「宇宙人」に近いのだろうなぁ~・・・と思う。それはもうSFとSFXとジャパニメーションの世界を生きてしまっていて、現実的な地政学といったものが頭にはいっていない。ガラパゴス的な島国の中で浮世離れしてしまっている。

ワシントンタイムズ紙に「LOOOPY」と称された首相。でも、そうはいっても浮世のつれづれに遊ぶ日本人ははたしてどこまで「LOOOPY」じゃないのだろうか?つまり、大陸的な地政学を頭に入れて日々の生活を生きているのだろうか?国民ひとりひとりを省みて、みな、どれほど国際的な外交能力があるというのだろう?だいたい、自分たちにはもっていないものを政治家やリーダーに求めるのは、ないものねだりなのではないだろうか?そんなエリート教育を国民は大衆化の果てに否定してきたのではなかったのだろうか?鳩山総理は国民の映し鏡であって、国民は移り気にそれを否定しているだけのよう。でもそれはおそらく本当の解決にはけしてならないだろう。混迷の変転期にある今、日本人のトップが「LOOOPY」といわれた。日本の大衆社会が「LOOOPY」といわれたこととあまり違いはないけれども、わたしたちは彼を選んだことを忘れて、みな、それは総理の個人的な問題としてしまっている。そうしたほうが都合がいいからだし、それであとは彼さえ、退陣させればいいからだ。使い捨てて、忘れてしまうことにたいするいつもの日本人の手。そしてなにかが変わったと思いたい。まったくうんざりするような消費社会の思考様態の飽くことないくり返し。いいかげん、それで変わることもあれば、変わらないこともあることぐらい気がつかないのだろうか?

でも、はっきり言えるが、本当の問題がそこにあるとはまったく考えられない。これは首のすげかえだけで済む問題ではないし、意識を対象化して、その対象をすげかえればいいという問題ではまるでないと思う。けっきょくそうしても同じような根から繰り返される循環、美術評論家のサワラギノイ風にいえば「悪い場所の循環」なのだろう。本当の問題はもちろんわたしたち一人一人の中に、この大衆化社会の中にある。おそらく、わたしたちの意識構造の中に、それとはなくしている思考の癖に、あるいは日常で正しいと思っている価値や快楽のメカニズム、理念のプログラムの中に。それはわたしたちの正しさ、気持ちよさとかかわっているので、なかなかそれを否定することができないのだろう。そして、今、これだけ、複雑化して入り組んだ蜘蛛の巣のような混迷の中で、現実の地政学を曇りなく見つめることは、おそらく日本人の誰にとっても、なかなか難しいのだろうなぁ~・・・と思う。

それでも、最後に一言、鳩山総理、あんまりSFされちゃあ、SF好きとして、困ります☆
by tomozumi0032 | 2010-05-11 20:43 | 社会問題
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